石川県小松市に2017年創業の酒蔵、株式会社農口尚彦研究所。杜氏・農口尚彦氏は1932年生まれ。菊姫などで長年酒造りを担い、酒造りの神様と称されてきた名匠です。
引退後も酒造りへの情熱は衰えず、自身の名を冠した蔵を立ち上げました。若い蔵人へ技術を継承する場としての役割も担い、山廃仕込みを軸に、手間を惜しまない伝統的手法で品質を追求しています。
ブランド名に杜氏本人の名を掲げている点は非常に象徴的です。技と責任を明確に示す姿勢の表れといえるでしょう。大量生産ではなく小仕込みで丁寧に醸す方針を貫き、山廃という伝統技法を現代的な酒質へと昇華させています。
伝統回帰でありながら、温度帯による味わいの変化も楽しめる設計で、国内外の愛好家から高い評価を受けています。
「農口尚彦研究所 純米酒 無濾過生原酒」は精米歩合60%です。加水や火入れを行わないため、アルコール度数は高めで力強い仕上がり。香りは穏やかで、米由来のやわらかな甘みや乳酸を思わせるニュアンスが感じられます。口に含むと濃密な旨味が広がり、厚みのあるコクが印象的です。一方で後半は酸が輪郭を整え、余韻は引き締まります。
甘口というよりは、旨味主体で骨格のしっかりした味わいです!
山廃らしい力強さと現代的な飲みやすさを両立している点が支持されています。冷酒では瑞々しさが際立ち、常温からぬる燗では旨味がより立体的に感じられます。
刺身や焼き魚はもちろん、鶏の照り焼きや出汁を効かせた煮物とも好相性。食中酒として存在感を発揮する一本といえるでしょう。
濃醇な純米酒を求める方や、熟成の変化を楽しみたい愛好家に適しています。
伝統の山廃を名杜氏の経験で磨き上げた、重厚かつ凛とした純米無濾過生原酒です。
レビュー
1
力強いのに美しくまとまる、旨味重視の純米生原酒
濃厚な旨味とキレの良さを両立した、飲みごたえ抜群の一本です。
グラスに注ぐと、米の甘みを感じるふくよかな香りが立ち上がり、口に含むと厚みのある旨味がしっかり広がります。無濾過生原酒らしい力強さはありつつも、雑味は少なく、後半はシャープに切れていくため重たさを感じません。
飲み始めはどっしりとした印象ですが、飲み進めるほどバランスの良さが際立ち、気づけば杯が進むタイプ。脂の乗った魚料理や肉料理とも相性が良く、食中酒としても高い完成度を感じます。
冷酒ではフレッシュ感が際立ち、少し温度が上がると旨味がさらに豊かになるため、ゆっくり味わいながら楽しみたい日本酒です。
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