① 歴史・背景
高知県土佐市に蔵を構える亀泉酒造は、明治30年(1897年)に創業した歴史ある酒蔵です。「自分たちの飲む酒は自分たちで造ろう」という初代からの想いを受け継ぎ、江戸時代から脈々と続く、どんな干ばつでも枯れないと言われる井戸の湧き水を大切に使い続けています。そんな同蔵において最大の転機となったのが、1993年に高知県工業技術センターが開発した新酵母「CEL-24」との出会いです。当時、他の酒蔵が「香りが強すぎる」と使用に消極的だった中、西原一民社長がいち早くその可能性を見出し、唯一の挑戦者として採用しました。手間暇を惜しまず、精米歩合50%まで磨き上げた原料米と独自の技術を組み合わせることで、従来の土佐酒のイメージを覆す革新的な酒造りを確立しました。
② ブランド・思想・位置づけ
「亀泉」という銘柄名は、宿毛街道にある枯れない泉「万年の泉」に由来しています。酒造りにおいて「おいしい」「たのしい」「おもしろい」をモットーに掲げる同蔵は、伝統的な地酒の枠にとらわれない柔軟な発想を大切にしています。その象徴的存在である「純米吟醸原酒 CEL-24」は、発売当初こそその強い香りと甘酸っぱさから受け入れられにくい時期もありましたが、時代の変化とともに日本酒の新しい扉を開く銘柄として急速に認知を広げました。現在では、全国の日本酒ファンやインバウンド層をも魅了する、高知の革新性を体現するモダンな日本酒の代名詞となっています。
③ 酒質・味わい・特徴
グラスに注ぐと、白ワインやトロピカルフルーツ、熟したりんごを思わせる非常に華やかで芳醇なアロマが立ち込めます。口に含むと、生原酒ならではのフレッシュなガス感とともに、ジューシーな甘みと爽やかな酸味が一体となって広がります。一般的な日本酒のイメージを覆す低いアルコール感と豊かな甘酸っぱさを持ちながらも、原酒ならではのしっかりとしたコクと綺麗な余韻を残します。タンクごとのわずかな成分の違いが数値としてラベルに現れる点も、飲むたびに新しい発見をもたらす大きな魅力となっています。
④ 評価・支持される理由
辛口主流といわれる土佐の地酒にあって、甘口でフルーティーな個性を貫き通した点が、多くの新しい日本酒ラバーやワイン愛好家から絶賛されています。日本酒初心者や普段あまり日本酒を飲まない人でも直感的に「美味しい」と感じられる圧倒的なキャッチーさを持ちながら、マニアをも唸らせる奥深さを兼ね備えています。そのまま冷やして楽しむのはもちろんのこと、フルーツ感を活かして洋食やハーブを使った料理、さらには意外性のあるカクテルベースとしても抜群の相性を発揮します。
⑤ 総括
一言で表すと、「南国土佐の挑戦が生んだ、白ワインのように華やかでジューシーな新感覚の生原酒」です。
レビュー
0